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十月歌舞伎座昼の部の幕開けは、「三人吉三」です。シアーターコクーンでの勘九郎、七之助で上演し、好評だったのを見逃しており、今回の七之助のお嬢吉三を、楽しみにしていました。3階の東側の席だったので、当日券の幕見席の様子が見えるのですが、平日なのに、すでに立ち見がセンターあたりにズラリ。期待する気持ちは、皆さま一緒なのですね。
十月歌舞伎座昼の部感想 「三人吉三」七之助のお嬢吉三
黒に梅模様の振袖を着て、七之助のお嬢吉三が花道に登場した瞬間 、 劇場が華やぎます。
長襦袢や髪飾りの赤と、着物の黒のコントラストで、七之助の青白いクールな美しさが、ふわふわと浮き上がってくるようです。可愛さ、美しさの中にも、ひんやりとしたものを感じさせ、実は悪党であるという危うい感じ。こういう七之助は大好きです。
しなしなと可愛くして女を油断させ、いきなり胸に手を入れお金をとる。この時の男に変わるのもとってもいい!女でもあり、男でもあるという部分を、自由に行き来することができる七之助が、素敵です。
そして、「待ってました!」と大向こうから声がかかり、名セリフ「月も朧に白魚の」が始まります。こなれていて、聞いてて気持ちがいいです。
お坊吉三は巳之助、和尚吉三は獅童と、若返ったメンバーが新鮮。お坊吉三は、二枚目の役ですが、巳之助は、ちょっとまだ線が細く、弱いかなと。声が高いのかな?二枚目っぽくするには、何かが足りないように感じました。獅童の和尚吉三は、楽しい感じがしていい。でも、なんといっても、七之助のお嬢吉三のクールビューティと、性を越えた感じが、とてもよかったです。
十月歌舞伎座夜の部感想 「助六」七之助の揚巻
七之助は、夜の部では 、 仁左衛門の助六を相手に、女形の大役、揚巻を初役で演じます。 2日目に観ましたが、花道から登場して、七三で客席を向いた時、「あれ?八月納涼歌舞伎第一部3幕目『心中月夜星野屋』の芸者おたかが、衣装を変えて出てきた?」という感じがしました。
おたかは、ガメツイ母親と一緒に暮らし、男はお金と割り切っている芸者です。ダンナが、商売に失敗したから、心中してくれというのを、表面上は了解しながら、母親と結託し、うまくだまそうとする、旦那にしなだれかかりながら、後ろを見て舌を出しているような役です。
それに引き換え、揚巻は、花魁なのに、自分のお客の意休に対し、暗闇で見ても、自分の間夫のかっこいい助六さんと、あんたなんかとを見間違えるわけがないもんね、という悪態をつきます。自分の心をバーンとさらけ出していて、そこがカッコよく、魅力の役です。
玉三郎が教えるということもあり、ものすごく期待していたのもあると思いますが、お嬢吉三での魅力を感じ、このひんやり感が、揚巻としては、違和感があったんだな、と気づきました。
揚巻は、この悪態の結果、お客の意休がムカつき、出ていけとなり、「アッ、そう」と席を外します。その時なだめるのが、妹分の児太郎の白玉。
衣装が、揚巻は黒と金が中心のすっきりと豪華なものに比べ、白玉は、ピンクや黄緑色等のやさしい色。それもあったのかなとも思いましたが、児太郎の白玉からは、人形のように美しいクールビューティな七之助よりも、人の好いふんわりした感じが伝わってきました。何か足りなかった感じが補われるような・・・。
助六は、「お客様も鷹揚に観てください」と言う演目でもあるので、七之助の揚巻には、このポヤッとした感じが足りなくて、なんだか物足りなかったのかと。お嬢吉三では、魅力となっている、青白いよいうな美しさがメインでは、揚巻にはなれないのでは?
十月歌舞伎座感想 まとめ
美しいこと。それは、人気役者には必要なことですが、美しさのタイプが、暖色なのか、寒色なのか、というのは、魅力を引き出す上で、重要なことなんだな、と実感しました。
人気役者は、いろいろな役をし、役の幅を広げていこうとしますが、生涯の当たり役というのは、ここの色合いがあっているものになるんだろうなと。そういうことがはっきりとわかった、七之助の二役でした。