Warning: Use of undefined constant user_level - assumed 'user_level' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/mana17/yukimana.com/public_html/wp-content/plugins/ultimate-google-analytics/ultimate_ga.php on line 524
大阪松竹座「十月大歌舞伎」公演は、二代目市川齊入 、三代目市川右團次の襲名披露公演で、猿之介、海老蔵が出演という豪華版。また、目玉に、二代目市川右近ちゃんの大阪初お目見えがあり、大阪まで遠征。昼夜公演とも観てきました。まずは、夜の部『雙生隅田川(ふたごすみだがわ)』についての感想です。
松竹座十月歌舞伎『雙生隅田川』の右近ちゃん
昨年、新橋演舞場公演の右近ちゃん
この演目は、昨年のお正月、市川右近が三代目右團次襲名と、息子の二代目右近ちゃんの初舞台として、新橋演舞場で上演されました。右近ちゃんは、その前の初お目見えで、かわいいだけでなく、よく声が通り、驚かされました。
右近ちゃんは、梅若丸、松若丸という双子の二役を演ずるのですが、花道を、父上のお見舞の花筒を持って、とことこあるく姿のなんとかわいかったことか!!あまりのかわいさに、舞台写真、買ってしまいました💛
物心つく時には、きっと歌舞伎を観ていたのでしょうね。だから、すでに歌舞伎調が身についている。子役独特の、平板な音程のないセリフが、とても自然に聞こえます。しっかり話していたのに、最後に「アーーーッ、アーーーッ」と子役らしく泣くところも、なんともかわいらしい。
出番も多く、宙乗りまでこなしてしまう大活躍。 口上も、しっかりと通る声で、立派に行い、思わず、バチバチと大きな拍手を送りました。
今年、十月松竹座公演の右近ちゃん
今回の松竹座では、8歳になっています。それまでにも、いくつかの舞台だけでなく、TVにも出演し、役者としても成長しているので、花道をひとりで歩いて出てきても、安心して観ていられます。
この物語には、天狗と鯉が出てきます。天狗の恨みをかった吉田家で、殿様が殺され、上の写真のお見舞いにきた右近ちゃん、若松丸がさらわれてしまいます。吉田家の跡継ぎは、右近ちゃん二役の梅若丸になります。
吉田家には朝廷から預かっている大切な掛け軸「鯉魚(りぎょ)の一軸」があるのですが、そこには川を昇る大きな鯉が描かれています。でも、目が描かれていません。お家を乗っ取ろうとする悪い奴らは、梅若丸の子供の好奇心をくすぐり、目をいれることをすすめます。
掛け軸に筆をいれたとたん、鯉が掛け軸から抜け出し、屋敷の池の中に飛び込み逃げていく。驚いた梅若丸は、屋敷を飛び出してしまいます。
子役がとても大事なシーンで、鯉の目を入れたくなるあたりとか、驚いて逃げるところとか、観客の心をさらっていきます。
松竹座十月歌舞伎『雙生隅田川』猿之助の班女御前
猿之助が、梅若丸、松若丸の母、班女御前です。眉の無い武家の奥様のキリッとした姿が、よく似合っています。猿之助が出てるだけでも嬉しいことです。
班女御前は、ダンナが亡くなり、若松丸が天狗にさらわれ、梅若丸まで出奔しで、気がふれてしまいます。見せ場は、子供を探してさまよううちに、たどり着いた隅田川で踊るところ。怪我以来、猿之助がしっかり踊るのを観るのは初めてです。
つい左手に目がいってしまいますが、今までどおりの、からだの軸がしっかりとし、表現力豊な猿之助の踊りです。
鍛錬してきた人は、大けがをしても(完全に治ってないでしょうが)、休まなくてはいけない時間があっても、これだけできるのだなと、感動というか、ありがたい、というような気持ちになりましたし、ホッともしました。
若松丸は、天狗に生まれ変わった吉田家の家来(右團次)の捜索によって、とりかえされます。班女御前は、若松丸に会って正気に戻ります。そして、この母と子、天狗の右團次の、華やかな宙乗りとなります。
松竹座は、歌舞伎座のように広すぎないので、宙乗りも近くに感じます。右近ちゃんも、「お客様の顔が見えるから、宙乗りが好き」と言っているし、宙乗りの興奮は、何とも言えません!こんなかわいい子が、宙に浮いて近づいてくるのですから!!
松竹座十月歌舞伎『雙生隅田川』まとめ
最後は、派手な「鯉つかみ」という場面で、右團次が、本水の中で、鯉と格闘します。人間の入った、大きな鯉も出てくるし、中ぐらいの鯉が飛び交うし、楽しい場面です。
右團次は、右近ちゃんという宝を得て、また、自分にも思いもよらぬ襲名があり、技術的にも良くなっていると感じます。一時期、セリフが聞き取りにくいことがありましたが、最近はそれを感じません。なんといっても、右近ちゃんをここまでにしているのが偉い!!
先日の歌舞伎夜話に右團次と右近親子で登場し、まだ踊りを正式に習わせていないことで、かなり驚きました。勘が良くて、舞台の稽古で身につくのでしょう。でも、将来、いい歌舞伎役者になるために、踊りはきちんと習わせてくださいね。将来の歌舞伎会のために、よろしくお願いしますよ、右團次さん。