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10月の歌舞伎座に続き、今月、11月は、中村勘三郎七回忌追善公演が、浅草寺境内に建てられた仮設小屋、平成中村座で行われます。
観光客の賑わう仲見世通りを通り、浅草寺にたどり着くのが、結構大変。パンフレットの案内には浅草駅から5分となっていますが、確実に倍はかかります。
平成中村座 初めての体験
平成中村座は、勘三郎の生前には行ったことがなく、今回が初めて。小屋の入り口を目にした時から、わくわく感で、気持ちがワーッと盛り上がり、嬉しくなってきました。
中村座ののぼりがあがり、中村座の半被を着たお茶子さんがいて、案内してくれます。中にはいると酒樽が重ねてあり、おめでたい感じ。
そして、足袋や羽子板等の和に関するお土産屋さんもあり、歌舞伎を観る雰囲気を盛り上げます。きっと、江戸の芝居小屋の前って、こんな感じだったんだろうなと、ワクワクします。
平成中村座 芝居小屋の雰囲気にわくわく
入り口にはお茶子さんがいて、「靴を脱いでください」と案内し、ビニールを手渡しています。
中は、木の作りになっています。2階席だったので 階段をトントンと上がると 、縦長の小屋全体が見渡せます。大きな中村座の提灯がぶら下がり、芝居小屋なんだなという新鮮な感動があります。
席は松、竹、梅に、桜とお大尽席という、平成中村座ならではのものがあります。
松(15,000円)
1階前方の座布団に座るで、膝を軽くたてられるような角度がついた、座椅子になります。
竹(14,500円)
椅子席。1階後方とサイド、2階正面とサイド1列目
梅(11,000円)
椅子席 2階サイド2列目
桜(9,500円)
舞台上の2階
お大尽席(35,000円)
2階正面。4席のみで、ゆったりと広く、大きな座布団に座る。後ろには屏風がある。
お大尽席は、「お大尽感を味わう」という遊び心から生まれた席ですが、休憩時間には、黒塗りのお重が出ていて、お茶子さんがお世話をしていました 。二人分の広さの席があるので、価格は高いですが、確かにお大尽待遇ですね。
私は、桜席で観劇しました。以前中村座を観たことがある歌舞伎仲間から、桜席が安い上に、芝居の前後の様子がわかり、面白いと聞いたので、歌舞伎会会員の前売りでチャレンジしたところ、ラッキーにも取ることができました。写真撮影禁止なので、お伝え出来ないのが残念ですが、舞台を上からのぞくことのできる、おもしろい席でした。
幕が上がる前の準備、はける時のようす、舞台を作ったり、ばらしたり、役者も、超近いですから、芝居そのものでは味わえない、楽しさがありました。
平成中村座 十一月大歌舞伎 演目別の感想
一幕目 弥栄芝居賑(いやさかえ しばいのにぎわい)
これは、出演者の口上のようなもの。目玉は、中村ファミリーのちびっ子二人、勘太郎と長三郎の登場です。おかしいのが、長三郎。席に近くて、上からよく見えたのですが、最初にお扇子を置いた時、斜めってまい、それが、すでにおかしいのですが、口上が始まって、大人の役者が頭を下げてじっとしている時に、お扇子の向きを直そうとしてさわり、今度は反対の斜めに。
そして、お辞儀を続けるのは、子供にはキツイのでしょう。気持ち下げていた頭も上がってくる。かわいいやら、おかしいやらで、一番の視線泥棒でした。
主要役者は口上が終わると、舞台正面を向いて立ちます。すると、他の出演者たちが、花道から出てきます。10人ぐらいだと思いますが、それぞれが、名乗りを上げます。その間、長三郎は、足の甲を内側にしたり、外側にしたり、じっとしていることがありません。
気が付くと、だんだん前に出てきています。途中、勘九郎が、隣の勘太郎に何かをささやいていました。おそらく、長三郎に「下がれ」とか「動くな」という伝言をしてもらいたかったのかと思います。勘太郎もちらちら長三郎を見て、なにか働きかけようとしていましたが、すでに声の届かぬ前方に出ていました。成長とともに、どんな風に変わっていくのでしょうか?楽しみです。
このあとに、勘三郎の芝居を振り返る映像が映像が流れるのですが、なんと、途中で映像が固まって動かなくなりました。それも、勘三郎が、変顔をしている時。?「アレッ?」と思っていたら、幕が引かれました。
しばらくすると、化粧を落とした芝翫が、浴衣姿で下手から舞台に出てきました。それで「動かないの?」とかのやり取りがあり、七之助を呼び、ちっびっこ二人のもできて、下手の幕前でこの事態の説明をしました。その時、皆、鬘をとって羽二重でくるくる髪を巻いた頭に、浴衣でした。
「機会が止まってしまったようで。現代のものなので、直せず」というような挨拶が七之助からあり、この江戸の芝居小屋のような平成中村座に、とてもあっていました。初日3日あけたばかりで、固まっちゃう映像機器ってどうよ、とも思いましたが、この小屋で、特に桜席だったから、このハプニングも楽しめました。
二幕目 舞鶴五條橋
勘太郎が牛若丸、扇雀が母親の常盤、弁慶は勘九郎です。です。ここは、勘太郎が主演ですね。
始まる前に、勘太郎が、上手にある長唄と、下手のお囃子の人に、よろしくお願いしますと挨拶をしていました。こういうは、芸事の基本ですよね。
扇雀が登場してきた時は、着物の裾を持ち、のしのし歩いてきて、男性的でちょっと「エッ?」と思いました。芝居になると、しっとりとした母になっていましたが。
後半は、弁慶との五条橋の出会いとなります。強そうな弁慶に対し、かなりちびっ子の牛若丸ですが、この公演だからこれでいい。勘太郎もかんばっていたし、親子共演がよかったです。
三幕目 仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場
この幕で、本当の芝居になりました。内蔵助は芝翫、勘九郎が兄の平右衛門、七之助が妹のおかるです。
七之助は、大役の揚巻を歌舞伎座でやり遂げたあとですが、やはり、これぐらいの役の方が、馴染んでいます。兄に切りつけられそうになって、逃げてじゃらじゃらする場面にも、愛嬌があっていい。笑いを取っていました。
勘九郎の平右衛門は、ちょっと軽い感じががして、シアターコクーンの芝居のような感じがする時もありましたが、足軽なんだし、それもありかなと。
なんといってもよかったのが、本当の兄弟だから出る兄妹感です。それを言ったら、演技ではない、ということになりますが、今回は、それがプラスに働いていました。
特に、夫の勘平が死んだことを聞かされたあと、「わたしゃどうしょう、どうしょう」とおかるが泣いて兄にすがりつき、二人がガシッと抱き合うところ。勘三郎が亡くなった時の、悲しみに満ちた南座の口上で、涙をこらえ、床についた手を二人が握り合った瞬間を思いだし、ウルッときました。今回は、七回忌追善公演だから、これでいいのです。
芝翫の内蔵助も、九太夫を責めるところ、「よくも魚肉を・・」のあたり、熱くてよかったです。人柄の良さが伝わってきて、悔しい怒りをヒシと感じました。
平成中村座 まとめ
勘三郎だから可能であった、この平成中村座。このなんとも言えない魅力のある小屋で、勘三郎の芝居を観なかったことは、残念なことだったなと。まさか、亡くなるんて思ってないから。この小屋の芝居を体験し、本当にすごい人だったなと、改めて感じました
帰りは、浅草寺の中はライトアップがあり、人も少なくなり、とても素敵でした。仲見世も空いていると、気持ち良く歩けます。
中村ファミリーの絆を感じ、小屋にも、席にも新鮮な感動があり、勘三郎に思いを馳せながら、とても楽しい時間を過ごすことができました。行ったことのない歌舞伎ファンの方には、めったにないことなので、是非、おすすめします。