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宝塚OGの大空ゆうひが、「まさに世界の終わり」に出演するということで、主演の内博貴についても、戯曲の内容も家族の葛藤ということ以外知らずに、観劇しました。大空ゆうひと主演の内博貴のアフタートークショーのある、お得な回です。場所は、DDD青山クロスシアターという200席程の小さな劇場です。
「まさに世界の終わり」について
舞台の始まりは、暗くなった舞台に機会音のイヤな大きな音が鳴り、次に、苦しい息が聞こえる。だんだん明るくなると、人がベットに横たわり、悪夢を見ているかのようにうごめいているのがわかります。これが、主人公のルイ(内博貴)で、自分は死ぬのだと。
この作品は、38歳で亡くなったフランスの劇作家ジャン=リュック・ラガルスが、亡くなる前に執筆した戯曲です。
自分が死ぬとわかったルイは、ずっと離れていた故郷へと戻ることにします。家族に自分の病について語るつもりで(だと思うがよくわからなかった)、家族と再会します。でも、久しぶりの再会を喜び、和気あいあいとならないのが、この家族です。
「彼と家族の姿から、家族とは何かを問いかける会話劇で、ザヴィエ・ドラン監督が『たかが世界の終わり』として映画化。第69回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞。
公演案内に目を通した時は、よさそうな話だなと思ったのでした。映画化もされていて、カンヌでグランプリを受賞しているというのですから。
内博貴の主人公ルイ
ルイは、左側の髪をそりこみ、右側は口元ぐらいに長くした不思議な髪型です。シャツはよくみると花柄で、なんだか派手です。自分は病気で死ぬ、と言っている人が着る服とは思えない。なんだかわからない設定だけれども、なかなかの美形で、この人は、俳優というより、元歌手なのかな?という華やかさがのぞきます。
一緒に観劇した友人はジャニーズに詳しく、終演後に聞いたら、もと関ジャニのメンバーだったと。若い時は、すごい美少年だったとも。確かに、今もその余韻はあります。
大空ゆうひの兄嫁
ルイが戻った家には、母と兄夫婦、妹がいます。大空ゆうひは、ルイの兄の妻の役で、青にローズの薔薇の柄に、白いレースの襟のついた ハイウエストのワンピースを着て、 今まで見たことのない、女らしい 風情です。
ルイはずっと家を離れているので、兄嫁とも会ったことがないという。それだけで、ちょっと壊れているのがわかる。その家族の中で、気遣いする女性で、一番まともな役です。
やさしい微笑みを浮かべてルイに接したり、家族のメンバーの様子を伺っています。また、今回の男性陣が、ゆうひ君より背が高いので、女性らしさが引き立ちます。
ルイの兄=ゆうひ君の夫は、なんだか乱暴なところがあり、どなったり、つっかかったりするいやな男としてのシーンが多いので、なんでこんな夫を?というアンバランス感はありましたが。
「まさに世界の終わり」ぶつかりう家族に疲れる
久しぶりの再会をした家族が、イライラとした言葉を投げつけあったり、なんでそうなるの?という会話をしたり。この激しい家族物語に、日本の家族ではありえない、翻訳物だからしかたないなと思いつつ、時々わき上がる不快感を抑えながらの観劇となりました。
「エッ?これで終わり?」と、終わったのもわからなかった。だって、なぜ、ルイが家を出たのか、なぜこんな人間関係なのかが、不明なままなのですから。彼は、家に戻ってきて、何を得たのかもわからないまま。
内向的、たぶん過敏だったルイの性格が、兄にストレスを与えていたようでもあり、でも、母親はノー天気に、子供が小さい頃に、毎週ドライブに行った話をしている。妹は、病的にいいつのる。この妹は、ルイが帰ってきたことが、嬉しいらしいが、なんだかうるさい。
ルイは、家族と接している時は、大人しく微笑みを浮かべて、相手に合わせていますが、一人の心象風景のシーンになると、激しく変貌します。
不満に満ちた、長い会話のやり取りに、途中疲れてきます。ですので、気をそらせるために、母親の衣装の不思議さを見たり。だって、蛇柄のフレアースカートに半袖のダボっとしたロングブラウスを着て、長い赤いネックレスに、赤いサンダルですから。演じている女優さんはホッソリとしていて、和風の顔立ち。まさにお茶漬け風。フランス人の役だから、本当は、もっとグラマーでゴージャスなイメージなのかな?とか。
「まさに世界の終わり」アフタートークショー
でも、どうにか最後まで観られたのは、主演の内博貴のビジュアルの良さと、ゆうひ君の役が新鮮だったから。不快な会話であっても、きちんとした演技力がある出演者ばかりだったからというのもあるでしょう。
終演後にアフタートークショーがあって、救われました。
出演者
演出家 石丸さち子、内博貴、大空ゆうひ、妹役 島ゆいか、司会者
演出家がかなり話したことで、一人が長々と話す不自然さや、未解決なこととかがわざとであったり、ということがわかりました。また、「集中力をもって観てくれてありがたい」というようなことを言っていました。地方を回っての今回の東京公演なので、大きな劇場での地方公演だったら、なんだか咳やら、ガサガサする音があったり、途中席を立つ観客もいたのでは、と思ってしまいました。
内君は、大阪弁で、しゃべると面白そうな感じはしましたが、1回目にマイクが回ってきた時は、ありきたりの挨拶で、肩透かし。話が進むにつれて、本当にMCは好きだし、いつもは役をひきずらないのだけれども、今回は「死」をテーマにしているのので、重くて切り替えられない、ということでした。ゆうひ君との会話で、そんな話が引き出されてきました。
ゆうひ君は、女らしい衣装から、いつものかっこいい中性的なファッションになり、ステキです。薄手のグレーで、足首ぐらいまであるロングのはおり物に、光る素材の黒のパンツ。靴は運動靴系。髪は横に三つ編みです。余裕の笑顔で、役について話していました。「他の4人は血縁関係があるから、自分は、それを外から気遣い・・」みたいなことですね。内君には、「あの人、ひきずってるわーという人いるけれども、そんな風には見えないのがすごい」とも。隣りに座っていた内君をリラックスさせ、トークにリズムを生み出したのが、何よりの功績です。
島ゆいかは、2回ふられましたが、この役をやって家族関係を見直した、気づいたことがある、ということを繰り返していました。
「まさに世界の終わり」まとめ
このアフタートークショーを聞き、友人2人と一緒の観劇で、終演後に話もできたことで、すっきりしました。演出家が、「何か心に引っかかることを残せれば」と言っていましたが、観劇中よりも、今のほうが、感じるものがあります。何を伝えたかったのか、原作を読んでみようかな、とも思える公演でした。