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10月の歌舞伎座公演は、勘三郎七回忌追善公演で、七之助が「助六」の揚巻(あげまき)に抜擢されました。このところ活躍が目覚ましい七之助ですが、追善公演という場でなければ、実現しなかったでしょう。
相手役の助六には仁左衛門、七之助の指導役としては玉三郎が就きます。勘三郎と共にすばらしい舞台を生み出してきた二人が、力を貸し、導きます。番組では、この様子を詳しくとりあげています。
密着!中村屋ファミリー2018 助六と揚巻の知名度は
ところで、お弁当の「助六」って、知ってますか?おいなりさんと巻きずしが入っていますね。
おいなりさんには「おあげ」が使っています。だから、おあげ+巻きもの=揚巻で、揚巻は助六の彼女ですから、「助六」っていうんだとか。この演目は、お弁当の名前になるぐらい、人気だったのです。
密着!中村屋ファミリー2018 揚巻と玉三郎
揚巻は女形の中でも 大役中の大役です。戦後に、この役を務めた役者は10名もいません。
玉三郎にとっては、当たり役の一つでもあり、8年前の歌舞伎座さよなら公演では、市川団十郎の助六を相手に、揚巻を勤めています。
玉三郎が言うには、「 過去の名優たちの書物でも、細かいことは書いていません。『自ずと器が備わった人間になれば 揚巻がやれるだろう』ということで、大きさというものが必要されて、そこが、難しいところ」と。
玉三郎は、今回、七之助の指導がメインということで、助六の母親という脇の役をやりますが、そのシーンも助六の仁左衛門と一緒に舞台に出るということで、楽しみだなと。
密着!中村屋ファミリー2018 稽古場での七之助と玉三郎
先月、リピートして観た舞台の稽古が、こんな風に行われていたんだ、というのがよくわかり、グッと気持ちにくるものがありました。
稽古の時は男性としての和服姿。玉三郎と七之助が横並びになり、一緒にセリフを言っています。手の動きからなにから、七之助が玉三郎を真似ていきます。教える時ってこんな風なんだ、というのがわかります。
七之助が揚巻の衣装合わせを
今回七之助が登場シーンで着る衣装は、玉三郎が自分で所有しているものだそうです。重たい衣装なので、動きやすいように、工夫してあるとのこと。それでも30キロもあります。
玉三郎の舞台は、衣装も美しく、それも大きな魅力となっていますが、美しく動くことへ意識が高いから、工夫が生まれるのですね。七之助にも熱心に指導しているのが伝わってきて、胸が熱くなります。
衣装合わせで、七之助の額からは、汗が噴き出していました。
助六の仁左衛門は、素でも素敵
助六を演じる仁左衛門は、袴姿で演じても、かっこいい!!素顔で話している時には、品がよく、人柄の良さがにじみ出ていますが、セリフを言うと、若々しく、かっこいい助六に変わります。役者は、声、セリフが大切ですね。
舞台稽古での玉三郎の指導
舞台稽古でも、玉三郎はバスローブ姿で、七之助の揚巻を熱心に指導しています。
七之助は、鬘までつけたので、顔中、汗がダラダラです。舞台を観ていた時は、ここまでの汗はでてなかったような・・・。綺麗ですが、そう見せるには大変なのだというのが、伝わってきます。
密着!中村屋ファミリー2018 初日を迎えて
初日の幕が開き、大きな拍手の中、七之助が花道から登場します。
「父は、中村屋から揚巻が出たのを本当に喜んでいるだろう」と、兄の勘九郎がその時取った行動が、亡くなった父、勘三郎への思いに溢れています。
楽屋のTVの前に、勘三郎の写真を置き、自分は、舞台上の御簾の中に入り、「お父さん、揚巻ですよ!」と、勘三郎の写真を舞台に向けていたというのです。父であるだけでなく、同業者であり、大切な師匠だったのですから。なんとも胸が一杯になりました。
勘九郎は、60才になったら助六をやりたいから、その時に仁左衛門に教えて欲しいと言っていたそうです。それがかなわなかったのだから、「次は、勘九郎君が」と仁左衛門は言っています。七之助の揚巻は嬉しい事だろうけれども、勘九郎は、自分もいつか助六を、と思っていたことでしょう。
無事舞台を終え、楽屋に戻ってきた七之助は、汗だくでした。そして、「疲れたーー、でも気持ちよかった」と。この大役を勤め、七之助の上り調子は、ますます弾みをつけていくでしょう。
舞台裏を見る事ができ、熱い思いをもって見ていた10月歌舞伎座「助六」が、さらに心に深く刻み込まれました。次は、どんな番組になるでしょう。成長し続ける中村屋ファミリーを、見続けていきたいです。