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五月の歌舞伎座は、恒例の「團菊祭五月大歌舞伎」であり、菊五郎と菊之助に海老蔵と、華やかな出演者が揃います。
また、夜の部の「弁天娘女男白浪」に、寺島しのぶの息子であり、菊五郎の孫でもある寺嶋眞秀(まほろ)君が丁稚長松役として登場するのも目玉です。眞秀君は、昨年の初舞台でのあまりのかわいさに、ドキュンときて目がウルウルになりました。
さらに、亡くなった海老蔵の父、十二世市川團十郎の五年祭でもあります。
菊五郎は、2013年の歌舞伎座新開場のこけら落しで、弁天小僧を勤め、今回は5年ぶりになります。取材会では、「古い歌舞伎座でこの演目をやったとき、私が『10年後にこの演目をやっても、(白浪五人男から)誰も抜けてないだろうな』と言ったら、『抜けてないよ』と言った夏雄ちゃん(十二代目市川團十郎)が一番先に逝っちゃって。それから坂東三津五郎くんも逝っちゃって……。非常に寂しい思いをしました。」と言っています。本当に新歌舞伎座お披露目前には、歌舞伎ファンならみんな肩を落とすような悲しいことが続きましたから。長生きも芸のうちですね。
五月大歌舞伎夜の部「弁天娘女男白浪」の菊五郎の努力
4月10日の取材会では、菊五郎は「(数え年で)76歳にして16・7歳の人間を演じないといけないから、腰がメリメリ言うほど痛いんです(笑)」と。さらに、美しい娘に見せるため炭水化物抜きダイエットをしていて、今、5キロまで減量しているとのことで、最終目標は7~8キロ減量。
これは嬉しい発言です。5年前のこけら落としで観た時は、「てとてと」と音がするような歩きというか立ち回りが印象に残っており、「今後は無理かも・・・」と感じてしまっていたので。
その結果、どうだったかというと、皆の意見は「前よりスッキリしてきれいに見えた」ということでした。娘にやつしている時はいいとしても、実は男だとバレてから、真っ赤な襦袢になるし、片肌脱いで上半身が見えますからね。
多少堂々とした娘ではありましたが、男に変わるところや、「知らざあ言って聞かせやしょう」の名ゼリフに、流れるような美しい仕草でキセルを扱う所など、この役は、菊五郎のものなのだなと思わせられます。
後半の立ち回りも、以前のてとてと感はなくなっていました。立ち回りは、脇の人がいろんなトンボを切って、華やかなものとなっていました。最後に屋根がひっくり返るところは、この年齢で大変なことだったと思います。今後も体重コントロールや健康には気つけてもらいたいです。
五月大歌舞伎夜の部「弁天娘女男白浪」寺嶋眞秀(まほろ)の出演
「おじいさまの弁天小僧にどうしても出させてほしい」という強い眞秀君の希望で、出演が決まったということ。ステキなことですねーー。眞秀君は、ハーフだけれども、あまりそれを感じさせない外見で、丁稚姿が本当に良く似合っていてカワイイ。初舞台の時は、花道を一人で歩いてきて、「美しいお女中が・・」とかの長セリフもあり、観る方もドキドキしたものでした。
今回は、店の大きなのれんの後ろに座って待機していて、「お茶を出して」「草履を出して」と言われると「はーーーい」と長い返事して出てくる。最初の登場では、大きな拍手が沸き起こりました。
3階の正面前方のセンターで観ていたのですが、待機している時も、脚がちょっと見える。東側の前方の席だったら待ってるところも覗けたかもと、ミーハーな気持ちに。
まだ初日はあけて数日だったせいか、草履を出した後とか、役目が終わるとクリクリした目が動く。客席を見ているのかなとも。観たくなりますよねーー。楽しんでいるのがわかります。
菊五郎は、「芸を受け継ぐためにやはり共演は必要か」という記者からの質問に、「どうでしょう。ただ映像で演技を観るのではなく、実際のこの“感じ”を覚えておいてもらえたら」と答えています。このまま歌舞伎役者になると決まっているわけではないけれども、きっと、表現することにかかわる仕事に就くだろうから、必ず、この経験は生きてくるでしょう。しばらくは、歌舞伎出演で楽しませてでもらえれば、心から幸せです。
四月大歌舞伎で、仁左衛門とまほろちゃん共演↓↓
五月大歌舞伎夜の部「弁天娘女男白浪」海老蔵の日本駄衛門
菊五郎からは、「今回は團十郎五年祭も兼ねていますので、(市川)海老蔵くんの初の日本駄右衛門を大変楽しみにしています」と。海老蔵は、5人男の親玉としての存在感は十分にありますし、悪はにじみ出てくるから、年齢が若くても問題ないでしょう。
思ったとおり、海老蔵の日本駄右衛門は堂々としていました。頬の線が、よりシャープになっているような・・・。濃いめの肌色も、唇を黒っぽくした悪役の化粧も良く似合う。
弁天小僧の菊五郎と南郷力丸の左團次が、店を出て行き、花道で分け前のことや、荷物のことでごちゃごちゃする芝居のところ、いつもなら観ない日本駄右衛門をオペラグラスで観察。海老蔵だからですが。なんか、目が三白眼になっていて、うつろな感じ。「昼の部の疲れが出て眠気が出ているのでは?」と思い、さらに観察。
考えてみれば、じっと正座で、それも武士らしくキリッと正面向いて座っているだけの時間がかなり長い。二人が花道に出てしまえば、見えるのは客席ばかり。意識が遠のいても(そのように見えただけです)仕方ないかとも。セリフは少なくとも、大変な役なのだなと思いました。
浜松屋を出たあとは、ここも見どころの稲瀬川勢ぞろいの場面。花道から本舞台に移り、上手から、海老蔵→菊五郎→松緑→菊之助→左團次と並びます。ここにきて、なんか違和感が・・・。
前半は左團次との芝居なのでいいのですが、自分の息子世代が3人もいて、さらに右隣はガッツリ体幹を鍛えている海老蔵。左隣の松緑もスラッとしている。そこにはさまれてしまうと、小柄に感じるのは弟分だからいいとして、しょぼんとした感じというか、立ち姿には、年齢を感じてしまいます。
玉三郎が先日のTV番組で、若い娘は、肩をそらし、老け役は肩をすぼめるというようなことを言っていましたが、まさに、その老け役の感じでした。もともと色っぽい女形でもあったので、同年代の左團次のようなしっかりした骨格ではないのもあるでしょうが、。
年齢と共に自然についてくる丸みも芸のうちだと思いますが、世代も違えば、役者としての体の作り方の違う。ここが、十二代目市川團十郎のような同世代であったり、坂東三津五郎のような自分の子供との間の世代の役者がいなくなっている難しさだと思いました。なんともならないこと・・・。
五月大歌舞伎夜の部観劇 まとめ
この演目で、菊之助は、稲瀬川の赤星十三郎だけでしたが、最後の演目で「喜撰」を踊りました。今、大河ドラマで上人様の役をやっているせいかなとも思いましたが、「喜撰」のお坊様は、上人様とは違い、オトボケ系の役です。垂眉にして、本来の美しさが消されています。
ユーモアの必要な踊りなので、キャラ違いのように思っていたら、やはり、この踊りの面白さは感じられませんでした。菊之助は、来月も男役の踊りを勤めるようです。
菊五郎が娘役も立ち役もする二刀流なので、菊之助もそれを引き継ぐために、今、女形から男役の習得にはいっている修行の時間なのかもしれません。
来月の歌舞伎座には、菊之助の子供も出演します。母方の祖父である吉右衛門が主役の演目で。家系の子供として育つから、子役として、小さくても演技ができる。こうして新しい世代が育っていくのをみるのも、歌舞伎の醍醐味です。このためには、親世代が健康であることが第一条件。より良い情報がある時代ですから、ダイエットも含めて大御所の役者方は、体のケアをし、孫子の世代を育てていってください。