博多座「あかねさす紫の花」感想 みりお&ちなつ版と春野中大兄皇子版

花組が5月に博多座で「あかねさす紫の花」を上演すると知った時、今度は絶対に行きたいなと思いました。それは、2002年の花組博多座公演を録画で見て、この作品にはまったから。この時は、春野寿美礼がトップに就任した時のプレお披露目公演。この2年程前から「花組に歌ウマの男役がいる」と聞き、観に行ったところ、それが春野寿美礼、オサちゃんでした。「なんていい声だろう」と魅了され、さらに面長で中高の顔立ちも好みで、すっかりファンに!!

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オサちゃんと瀬名じゅんでオアサコンビといい、人気があるのも知りました。確かに、二人でいると魅力的です。大鳥れいも好きだったので、この3人での新生花組は、嬉しい限り。でも、まだその頃は、トップお披露目公演は、地方に遠征してまでも観る価値がある、ということを知りませんでした。ということで、オサちゃんファンとして、だいぶはまってきた時に録画で見て、中大兄皇子にドキューンときて、「行けばよかった・・・」と後悔したのですね。

博多座「あかねさす紫の花」みりお&ちなつの大海人&中大兄

明日海りお(みりお)が主演となると、大海人皇子が主演バージョンだと思っていたら、鳳月杏(ちなつ)と柚香光れいちゃん)で天比古も加えての役替わりをして2バージョンするという。東京から行くのに両方は無理なので、Aパターンのみりお大海人皇子、ちなつ中大兄皇子を観ることにしました。ちなつは、CSで見た「金色の砂漠」の王様がスケールが大きく、大人っぽい声でとても魅力的で、中大兄皇子で是非観たいと思ったのが決め手です。

トップ娘役のユキちゃん(仙名彩世)も、前作のポーの一族ですっかり好きになったのもあり、日程を1日延ばし、2日連続観ることにしました。1日目は2階S席の後ろの端、2日目は1階前方の良席。博多座は3回目ですが、2階で観るのは初めて。でも、2階が低くて、舞台が近くて観やすい!!

博多座2階席より

本当にいい劇場だなと思い、開演までの期待がどんどん高まります。

そして、開幕。ユキちゃんの大人姿から始まり、過去を振り返る子供時代に。この子供時代は、15才にしては子供っぽすぎるというのは、初めて観た時からの疑問ですが、もう慣れました。大人になってから差をつけるためと思えば、ま、いいかと。

ユキちゃんは顔が面長で大人っぽいので、ビジュアルには多少無理を感じましたが、演技力でカバー。レイちゃんの天比古は、二つ分けの髪に緑の紐を結んでいるのがかわいいし、額田に対するあこがれにも熱があって、なかなかいい。みりお大海人皇子の少年は、もちろん、もちろん、もちろん、文句ありません。この時、中大兄皇子はすでに大人ですから、大人の男として登場するちなつは、堂々としています。恋人の鏡女王の桜咲彩花(ベイちゃん)もしっとりしていい感じ。

瀬戸かずや(あきら)の中臣鎌足が登場。かっこいい!!大化の改新の打ち合わせをしている時に、みりお大海人皇子が「アニウエーーー!ネズミのニオイがーーーッ!!」と駆け込んでくる。その後、立ち回りとなるのですが、みりおは少年ぽさが似合い過ぎているので、そんなに強くは見えませんでした。アサコちゃんの大海人皇子は月組トップになってからも観てますが、ガタイの割に心の幼い体育会系の少年という感じだったので、ビシバシ敵を倒しているように見えました。

そして、時がたち、額田が大海人皇子の子供を産み、幸せいっぱいのシーンとなります。大海人皇子が去ったあと、中大兄皇子が現れ、おつきの人達に「はずしてくれ」と言って、「女とは、こうも変わるものか」から始まる、額田に言い寄るシーンになります。額田が「いつものご冗談を」とかわすと「冗談ではない」「吸い寄せられるようにきてしまった」という、ドキドキするセリフが続きます。そして、中大兄皇子の歌になります。

博多座「あかねさす紫の花」春野寿美礼の中大兄皇子との違い

ここで「アレッ?」と思いました。オサちゃんのを録画で見た時は、この歌で、ギュイーンと心をつかまれ、圧倒的なオーラに、額田がとらわれていく気持ちがしかたないことのように思えました。飲み込まれてしまった感じ、とでもいいましょうか、理性を失わせるとでもいうか。

春野寿美礼の中大兄皇子、大鳥れいの額田大王

ちなつはいい声だし、歌うまと思っているのですが、「わたーしは、あなーたが、ほしいーーー」というところの、肺活量が足りないというか、ボリュームで包み込んで捉えるとでもいうような、大きな広がりがなく、あっさり終わってしまって・・・。ドラマが大きくならなかったのですね。だから、「大海人には私から言っておこう」という、「キャー」という傲慢だけども、クラリとなりそうなセリフにも盛り上がれず、大海人皇子が出てきてからの「今、この瞬間にも兄上を尊敬しています」というセリフも、なんだか緊迫感が弱く感じてしまい、大和三山に例えての中大兄の「畝傍(うねび)はさぞ困ったことだろうな」という勝利者のセリフにも、心動かず・・・。

期待しすぎていたのかなと思いながらも、舞台は進んでいく。この残念感は、オサアサ版に洗脳されているのかなとも思いましたが、その後の月組のアサコ大海人皇子主演の中日も全ツも観てるけど、ここまでの「???」はなかったかなとも。だから、その後の3人の心情を、体に絡まる布を使って踊りで表すシーンが、バックの景色もないシンプルな舞台なので、スカスカに観えてしまいました。最近の豪華な演出に目が慣れているのかなとか、2階だからかなと思いましたが、どうしようもならない3人の関係が感じられていなかったからだろうと、後から思いました。

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そうこうしているうちに、最後の大津京でのシーン。

ここで、オサちゃん中大兄皇子とアサコ大皇子の迫真のシーンになります。「狂ったかーー、大海人!!」「狂いましたーーー!」「額田を返してもらえませんか?」「できぬ!」「どうしても?」「くどーーい!」そして、最後の「バカモノーー!」で終わり、額田が必死に「お静まりください、皇子様、お静まりください。」と大海人皇子に言う。最後に「この諍いをきっかけとして、兄弟の争いへとつながった」という意味のナレーションがはいる。ここまでで、心をすっかりつかまれ、また最初から録画を見てしまうという。そういう、どうしようもない魅力が、オサアサ版にはありました。

2日目に観た時は、1階の舞台に近い席だったので、大海人皇子の心が爆発していまう苦しみは感じられましたが、やはり、中大兄の「バカモノーー!!」が弱い。当時、ヅカファン仲間では、エリザべートの「死ねばいい!」ぐらい、「くどーい!」と「バカモノー!」が流行っていましたから。

考えてみれば、オサちゃんは、トップスターとして勤めた役。そして、声の良さ、歌のうまさでは飛び向けている上に、顔もクールな面長鼻高で、和物の王者が良く似合う。でも、ちなつは、冠をかぶると丸顔でやさしい面立ち。それに今の番手からは、経験も違う。中大兄皇子をアキラでやれば、また違ったのかも?とも思いました。歌唱力ではなく、お色気とか、男らしい存在感で演じ切るということで。

博多座「あかねさす紫の花」まとめ

1回目で一番魅力的だったのは、レイちゃんの天比古でした。満たされない思いを抱え苦悩するのは、前回の「ポーの一族」のアランと同じ。鏡女王のベイちゃんも良かったです。普通に考えたら、この二人のほうが、わかりやすい感情ですから。

2回目は、この自分の違和感を分析した上で、ちなつの中大兄皇子は、雰囲気はやさしく、絶対王者感が弱かったのと、ユキちゃんの額田大王も、知的で落ち着きがあり、つい、惹かれてしまうという感じが弱く、この恋の物語には、何かが物足りなかったなと。

また、みりお大海人皇子は、愛する人を奪われた弟としてはよかったけれども、兄と政治的に対抗するような、戦う男に感じられなく、有馬皇子のように、「歌詠みとして生涯を終えたい」人のように見えた。アサコちゃんは、強そうだったので、怒りで立ち上がる感があった。

名作といえども、演じる人によってこうも違うのかというのに驚きました。もちろん、演出の意図も違うのでしょう。もうライブビューイングも終わり、明日からはBパターンです。みりおにも、ちなつにも、Aパターンが合っていると思って博多座まで行ったのですから、役替わりではなく、1ケ月練り上げてもらいたかった気もします。Aパターンで不完全燃焼だったので、Bパターンが観たくなりましたが、ライブビューイングも無理。残念です。

花組は「ポーの一族」がすばらしくて、その勢いもあり、今回遠征しました。生で観たから、自分が何に惹かれてこの作品が好きだったかわかりました。今回が悪かったというのではなく、思っていたのとちょっと違ったということです。宝塚は、トップスターに合わせて作品を作り、それぞれの生徒の魅力を引き出し、限られた時間の花を咲かせるもの。だから、いいと思ったときには、できるだけ観なければと思いました。

今回、福岡の友人宅に泊まったのですが、そこには中学1年生の娘がいます。昨年初めてミュージカルを観て、すっかりはまったということ。そこで、次回花組の「メサイヤ」のチラシを見せたら、「行きたい!」となり、夏休みなので、宝塚まで行くことになりました。嬉しい~~。今回の収穫はこれが一番大きい!原田先生、絶対はずさないでくださいね!!!

https://yukimana.com/2459.htm

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