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八月歌舞伎座第一部感想 「花魁草」年上女扇雀の恋心に、胸キュン

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今年の納涼歌舞伎も三部制。演目と役者を見て、夏は忙しいし、二部の「弥次喜多」だけでいいかなと。でも、着物好きの歌舞伎初心者達が観てみたいということで、一部を観る事に。弥次喜多は人気でチケット取りにくいのもあるけれども、歌舞伎的「美」からはかな~り遠いのでは?2つの芝居のうち、3幕目の芝居の七之助は綺麗だろうし、踊りもあるから、大はずれはないだろうと。

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八月歌舞伎座第一部感想 「花魁草(おいらんそう)」獅童、扇雀、幸四郎がいい感じ

全く期待していなかったのが、この一幕目の「花魁草(おいらんそう)」でした。だから、チラシもサラッとしか読んでないし、朝から着物着たり、お弁当準備したりのザワザワした気持ちを落ち着かせる時間とでもいいましょうか?時間前に席につけてよかったと。

幕が開くと舞台は薄暗く、下手の空は夕焼けのように赤い。舞台の中ほどの高さに街道があり、庶民が黒い影となって、時々通りすぎていきます。街道の下、つまり舞台の上は、ぼうぼう草の生えた土手で、手前には川があります。ゆったりとした時が流れる、とても美しい田舎の風景です。

しだいに夜が明けて、舞台は明るくなっていきます。そうすると、土手の上手寄りの草むらの中から獅童が起き上がり、上手の草むらから、派手な赤い地色の長襦袢を着た扇雀が起き上がります。

江戸に安政大地震が起こり、二人は江戸から命からがら逃げてきて、草むらで眠っていたのです。下手の空が赤いのは、江戸が燃えているから。二人は、お互いに大変な所から必死で逃げて生きていた、ということで親近感を持ちます。

獅童は大部屋役者の幸太郎、とっても無垢な感じの若者です。扇雀は吉原の女郎、お蝶。世慣れた感じの年増で、扇雀の押し出しの強さがよく似合っています。芝居町は焼けてしまっているし、お蝶は年期があけているので、もう吉原に戻らなくてもいいという。そこで、二人は、これから道連れになって、とりあえずこの道を先に進もうということになりました。

お蝶がこのままでは恥ずかしいからと、幸太郎は羽織るものを探しに土手を離れます。そんな時に、小舟が一艘通りかかる。小汚い船頭が乗っているのですが、それが幸四郎か??「エッー!」と思い、オペラで確認すると、やっぱりそう。

幸四郎は、基本は二枚目ですが、こういう間抜けたというか、庶民の役の時の顔の作り方がいいです。三角たれ眉とか、黒い顔とか。痩せた体に、茶色のボロ着が似合う(ホメてます)。じゃべり方にも、愛嬌がある。米之助という栃木の百姓の役なのですが、こういう庶民の役だと、人のいい感じが出る。襲名公演の弁慶より、ずっとずっと好きだなー(個人の感想)。

米之助は、お蝶がナレナレしく舟に乗せてくれというのを、ちょっと鼻の下を長くして了解し、このまま幸太郎をほっぽらかして行くのかなと思っていたら、「もう一人いるんだけど」とお蝶は頼む。快く了解する米之助ですが、幸太郎が現れると、「なんだ~、男か」と。そこで客席からは、笑いが出ます。米之助は二人を快く舟に乗せ、お蝶、幸太郎もとても喜んで、舟は地元の栃木へと向かいます。

ここまでで、なんだかあったかい感じがするし、獅童、扇雀、幸四郎の役がはまっている感じで、楽しみになってきました。

八月歌舞伎座第一部感想「花魁草」 一緒に暮らしているけれど

場面変わって、ダルマが並べてある田舎家になります。米之助の隣の家を借り、幸太郎は、ダルマの絵付けを仕事とし、お蝶と暮らしているよう。そうか、二人はくっついたのか、と思いましたが、ちょっと様子が違う。

幸太郎が一人でいるところに、近所の若い娘がやってきて、気のある様子。それを、外から帰ってきたお蝶が見て、ブリブリする。お蝶は、幸太郎より10歳年上ということで、二人は夫婦ではなく、叔母さんと甥の関係ということで暮らしていたのです。嫉妬心を露わにするお蝶が、なんだかいじらしく、とてもかわいいのです。心底、惚れているんだなと。

ダルマ問屋の世間話から、二人は、江戸が大地震のあと1年経って復活してきいることを知ります。芝居もお正月から再開すると。それを聞いて、役者に戻りたいのでは、と幸太郎に聞くお蝶。それに対して、幸太郎は、「戻りたい気持ちはあるけれども、役者っていうのは、家柄がいいか、大きな贔屓筋がないと、役がつかないから」と言い、客席には、クスクスという笑いがじわじわと広がります。まさにその通りだから、後ろ盾がなかった獅童が言うと、なんかね、真実味がありすぎて。今でこそ、スターになりましたが。

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このあたりで、「あっ!これ、観たことある!」と思い出しました。前は、いったい誰が幸太郎やったのかな?名門の御曹司がやってたら、言えないセリフだし・・。二人は、悲しい別れになったような、でも、ぼんやりとしていて、思い出さません。

八月歌舞伎座第一部感想「花魁草」 お蝶の激しい過去

幸太郎が仕事に出た後、隣りに住む米之助からは、祝言を挙げればと勧められたます。お蝶は、「いろんな男を知っている自分が、こんなに惚れた男は他にいない」「こんな汚れた体を持つ自分が、あんなに清らかな幸太郎を汚したくない」と言い、「二人に色めいたことは何にもない」と言う。

信じられないなーと言う米之助に、「女は老けるのが早いというし、十年たったら棄てられるし」とお蝶。このあたりのセリフに、今の年齢だから、なんとも胸が痛む。昔の10歳年上は、今の15~20歳ぐらいの差ではないでしょうか?年下男に恋するって、悲しいなー、しなくてよかったなー、とか・・・。

米之助と話しているうちに、お蝶の過去が明らかになります。両親を亡くした後、男に騙され、嫉妬で男の家に乗り込み、刺してしまったと。さらに、取り調べの時に、自分の母も同じことをしたことを知ります。そして、自分の血に流れるものを怖れている。扇雀のお蝶には、熱いエネルギーがあるので、恋する反動が引き起こした事件が、やむを得ないものとして痛々しく、何とも悲しいです。

八月歌舞伎座第一部感想「花魁草」 幸太郎のチャンスで夢の終わりが。

日光詣の帰り道に通りかかった猿楽町の芝居茶屋の女将お栄(萬次郎)が、偶然幸太郎を見かけます。幸太郎は地震で死んだと思われて、葬儀までこの女将がだしたというのですから、大変な喜びよう、はしゃぎようです。お蝶の過去の重い話からは大きなギャップがあるので、お蝶の悲しさが引き立ちます。

幸太郎の元の座元勘左衛門(彌十郎)がやってきて、幸太郎と再会、役者に戻らないか。そして、「これからは若い者にもっと役をつけて、新しい芝居をしなくては」と語りかけます。夢のような話に涙する幸太郎、でも、その話を聞いているお蝶は複雑です。注目して観ていましたが、表情が切なくて、グググッときます。幸太郎は、この時、お蝶と所帯を持つことも考えていたようで、当然、江戸に一緒に行くと思っています。

幸四郎の米之助も、幸太郎の役者復帰を喜び、家の片付けをしなくてはと言うと、お蝶は、「私は戻ってくるから、このままにしておいて」と。驚く米之助。でも、お蝶は、「江戸には、すけべな金持ちの女がいっぱいいる。」と憎々しげに言う。そして、「私のような女がいたら、人気の足をひっぱる」。また、「私が行かないと言えば、幸ちゃんも行かないだろうから、一緒に行くけど、生活を整えたら帰ってくる。」と。さらに、「最後の思い出作りに、江戸までの旅を楽しみたいじゃないか」と。なんとも切なく、涙がにじんでくる言葉が続きます。

お蝶の言葉がここまで胸に響くのが、獅童の「幸ちゃん」になんともいえない甘さ、かわいげがあるからです。まっすぐで清らかな男。ちょっと不器用なせりふ回しも、いいです。だから、お蝶の「幸ちゃん」という言葉の響きに共感できて、キュンキュンするのです。

八月歌舞伎座第一部感想「花魁草」 幸ちゃんの成功を、一人見送る

6年後の夏、人気役者淡路屋若之助となった幸太郎が、お蝶と住んでいた栃木の芝居小屋に興行をしにやってきます。栃木に戻ったお蝶に晴れ姿を見せたくて、来たのです。でも、お蝶はいない。米之助に聞くと、二年前に病気になったから療養所に行くと行って出て行き、連絡がない、もしかして死んだのかも・・・と。「一番観て欲しかった人なのに」と悲しむ幸太郎。男女ではなく、母親や恩人への愛情に変わっていったのでしょうか・・・

でも、お蝶は、ひっそりと生きており、幸太郎を見ていました。役者の舟乗込みを見るための、巴波(うずま)川の橋の上に集まる群衆の中から、最後に出てきます。きれいな小紋の着物をきているから、仲居でもしているのでしょうか。一人橋の上に残り、顔を隠していた手ぬぐいをはずし、「幸ちゃん」、「淡路屋!」と。前方を大きな瞳でじっとみつめ続けます。

ここで幕になります。胸がジーンとする本当にいい芝居でした。そして、時間が経つと共に、扇雀、お蝶の悲しさが、胸にしみてきます。

八月歌舞伎座第一部感想「花魁草」 まとめ

ネットで調べて、「花魁草」は、歌舞伎座改装中の新橋演舞場で、平成11年に上演されていたことがわかりました。意外にも、この時の幸太郎も獅童。全く記憶がありません。お蝶は、来月病気から復帰する福助でした。そして、幸四郎が演じた米之助が、勘九郎だったと。

その当時、観た人のブログに、「幸太郎とお蝶より、勘太郎さんと芝のぶさんの夫婦のほうがなんや印象的やった。」というコメントがありました。私は、ストーリのかけらを覚えているだけ。でも、今回は、こんなに書きたくなるほど。時間が合えば、幕見でもう一度観たい。

おそらく、獅童が芸の経験と、年齢を重ねたことで、若い人の純粋さが出せるようになったなのだなと。幸太郎がかわいくないと、お蝶の乙女心、純愛が健気に思えませんから。それに扇雀には強いものがあるので、男に汚れて生きてきても、それはそれで割り切ってたくましく生きてきただろうなという感じがある。だからこそ、幸ちゃんに出会って生まれた純粋な恋心の熱量が、その分高く、清らかなのが伝わってきて、共感し、応援したくなる。

実は、数ケ月前に「新口村」で扇雀の梅川を観たのですが、こんなに男扱いのうまそうな、世慣れた梅川がいるのかと、かなりの違和感を感じました。お父上の藤十郎の忠兵衛を支えるのに、手いっぱいだというのもあったと思いますが・。もう初々しい役はやらないで欲しいと思いました。だから、こういう役は、ピッタリはまるんだなと。

幸四郎の米之助が、お蝶さんの話の受けをしているのですが、深刻になりすぎず、素朴な暖かさがあり、それもとても良かったのです。また観たい役ですが、幸四郎として成長していくと、やらなくなるのでしょうね。もったいないです。

自分の年齢もあり、感じ方は変わるのでしょうが、「花魁草」は、主要3人が、はまっていて、本当によかった。チラシやネットだけではわからないから、幕見でもいいから、できるだけ生の舞台を観ないと、と思いました。歌舞伎が好きなので。

七月の大阪松竹座は、毎年「関西・歌舞伎を愛する会」ということで、上方歌舞伎の名家、松嶋屋が出演することに加え、最近は、同じ上方歌舞伎の坂田藤十郎の孫、中村壱太郎が良い役で出演するので、楽しみがプラスに。さらに、松本家の襲名披露もあります。

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