十二月歌舞伎座夜の部感想 「阿古屋」玉三郎と児太郎、彦三郎、松緑

12月の歌舞伎座公演は、昼も夜も玉三郎の指導のもと、若手が初役に挑戦するのが話題です。それも、玉三郎が得意としてきた、人気の演目ばかり。

夜の部では、中村梅枝(31)と、中村児太郎(24)が「阿古屋」を勤め、玉三郎とのトリプルキャストになります。

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玉三郎と若手女形が昨年から準備

昨年の10月に、長唄の名曲である「秋の色草」の舞踏劇で、玉三郎と梅枝、児太郎が共演しました。この曲には、途中「琴の相方」という、三味線とお琴で演奏する華やかな部分があります。ここを若手二人が琴の生演奏をし、玉三郎はその間引っ込んで、衣装替えとなりました。

役者が舞台の上で楽器を弾くというのは、華やかでもあるし、ちょっと緊張感もあります。日本髪に振袖でお琴を弾く姿には、なんともいえない優美さがあります。琴を弾くとき、少しうつむくので、スッと鼻筋が通って、なで肩の梅枝のほうが、エレガントに見えました。児太郎は、オレンジの着物で妹分の感じ。

この時、玉三郎は、きっと将来の「阿古屋」の事を考えて、この二人にお琴の演奏をさせているんだ、さすがだなーと思っていました。踊りとは言え、役になって弾かないといけないのですから。本舞台ほど、身につくものはありません。

演奏が終わった時は、音楽の美しさと、緊張がほぐれたのとで、大拍手をしました。

十二月歌舞伎座 夜の部初日「阿古屋」感想

初日は2日で玉三郎です。もう余裕の美しさです。今回は、阿古屋の取り調べをする重忠が彦三郎で、阿古屋のことを思いやる心を感じ、楽器演奏の華やかさとは別に、物語として、とてもよかったです。

彦三郎の声、セリフは本当によくて、仁左衛門とほぼ同じと言っていいぐらい、好きです。弟の亀三郎も榛沢六郎で出ているので、芝居の導入から、キリッと引き締まります。

岩永は、松緑で、大きな目の使い方と、カクカクとした動きで、文楽人形のおもしろさと、ちょっとマヌケさがあり、よかったです。初日のせいか、上に吊り上がる眉毛の操作がうまくいかなくて、片側だけ上がったり、斜めになったり。ご愛嬌の役なので、クスクスと笑いが出ても、問題ありません。

十二月歌舞伎座 夜の部「阿古屋」児太郎の初日

児太郎の初日は5日です。少し遅れてしまい、私が席に着いた時は、ちょうど、花道に児太郎の阿古屋が出てくるときでした。ここに間に合ってよかった、と胸をなでおろします。

3階席だったのですが、上からみていても、なんだか、堂々としていて、グーッと胸に迫ってくるものがあります。花道の七三で止った時は、「美しい!」と感じ、スターオーラがありました。大きな拍手が沸き起こります。これだけでも、この役をやる「格」が備わっているのだと。

「秋の色草」の時には、日本髪のかつらが似合ってないというか、庶民的な顔に見えたのです。が、阿古屋の紫の布で額と眉を隠した豪華なかつらだと、意外ときれいに感じました。肩幅があり、体の芯に強さがあるので、大きい衣装に負けていないです。

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児太郎は、妹役だったり、貧乏な役だったりで、地味な衣装のことが多かった。それで、無理にかわいく作っているように見えていましたが、こういう豪華な衣装が似合うというのは、発見であり、嬉しいことです。

2ケ月前の「助六」で、花魁の白玉が、七之助よりも花魁らしく感じたのは、間違いなかったなと。美しさは断然七之助でしたが、雰囲気は児太郎のほうがありました。

本舞台に入り、声を発した時、「若いな!」と思いました。ずっと玉三郎で観ているので、この違いは、ちょっと衝撃でした。児太郎は、そういえば、声にかわいらしだがあるのだなと。セリフに、暖かみもある。それが、だんだん気になる存在になってきた理由かも。

向きを変える時も、膝を中心にクルッ、クルッとして、「アレッ?違う」と思う。そういうちょっとしたことが新鮮です。身体能力が高い感じがします。これは、踊っているときにも感じます。

正面を向いてセリフを言っていると、出の時程の華やかさはありませんが、重忠とのやりとりも、情があっていいです。

そして、琴の音合わせが始まり、ドキドキします。

演奏が始まり「エッ?」と思ったのが、歌です。何か音程があっていないな、と。

私は長唄のお三味線を習っていますが、唄いながら三味線を弾く、というのは、本当に難しい。まして、女形の声で唄うわけですから。演奏は練習していれば、緊張していても指が動くでしょうが、唄には緊張が出てしまうかも・・・。

3つの楽器以外に、唄も大切なのですから、本当に難しい役ですね。

十二月歌舞伎座 「阿古屋」で玉三郎の岩永

立女形である玉三郎が、赤く顔を塗った岩永をやるのも、見逃せません。初めは、玉三郎なのかどうか、さっぱりわかりませんでした。セリフは、上手の竹本の太夫が言いますから。この声が低くて、玉三郎と思うと違和感がありました。松緑の時はなんとも思わなかっのですが。

玉三郎の岩永は、扇子をもつ指の感じがたおやかだったり、人形振りの力の抜き方が、なんだかふわりとしていて、玉三郎っぽさを感じました。笑いの取り方も、玉三郎の三枚目の部分が出ていました。

若手バージョンもなかなかお得です。このあとの玉三郎の舞踊「傾城雪吉原」もすばらしいですから。

十二月歌舞伎座夜の部感想 まとめ

発表になった時は驚き、どうチケットを取るか、悩んだものです。玉三郎は土日公演は2日しかない。若手のファンは若い層だろうと、二人にゆずっています。玉三郎ファンの方が年齢層が高いし、平日に会社休んででも来ますから。

初日も「阿古屋」には幕見に立ち見がでていました。そして児太郎の初日にも、平日にもかかわらず、立ち見がでていました。

円熟の芸と、チャレンジする若い芸の両方を観て、楽しめました。こうなると、梅枝も観てみたい。どうにか日を作って、幕見で観よう!と思います。

十月歌舞伎座昼の部の「三人吉三」。シ「アーターコクーンでの上演が、好評だったのを見逃しており、今回の七之助のお嬢吉三を、楽しみにしていました。3階東側の席だったので、幕見席が見えるのですが、平日なのにすでに立ち見がセンターあたりにズラリ。
12月の歌舞伎座公演は、昼も夜も玉三郎の指導のもと、若手が初役に挑戦するのが話題です。それも、玉三郎が得意としてきた、人気の演目ばかり。 昼の部は、上方歌舞伎の中村壱太郎(28)が、「お染久松」のお染の七役を勤めます。
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