星組東京『ANOTHER WORLD』感想 ゆるい笑いより綺麗なシーン

宝塚で観た時は、関西弁を自由に操っている紅さんが楽しそうだったし、寒いお笑いではなくて安心したものの、東京での二度目の観劇となると、舞台が練りあがって笑いが増す、という感じにはなりませんでした。

星組東京『ANOTHER WORLD』感想 ゆるい笑い

新公の映像をチラと見て、紅さんのヒョロリとしたスタイルは、はんなりとした大店のボンボン康次郎にはあっているんだなと思いました。そういう目で観ると、ずっと内股で歩いているのもかわいいし額の三角巾も、それを派手にした飾りも、細面の和風な顔立ちに似合っていて、許せる。うっかりすると、ただのあほ坊になるところを、紅キャラが、上方のボンボン「つっころばし」に仕上げている。

幕開けの紅さんの「ワテは死んだんか?」でも、カイちゃんが5日も前の鯖にあたって死んだというあたりも、クスクスとした笑いがありました。冥途カフェとかのギャグもはさんであるし。全体に、なんとなくゆるい笑いはある。まだ、日が浅いからですかね?

でも、宝塚で受けていた冥途歌劇団のトップスター、美稀千草さんの登場では、あんまり反応がなかった。もう情報が出回っているせいでしょうか?

初めての時は「冥途歌劇団」と聞くだけでもちょっとおかしかったし。私も、宝塚の時ほどの「思わず笑っちゃった」感はなくて、自分でも肩透かしでした。でも、歌の上手さに聞きほれ、好きなシーンであることは変わりありません。

星組東京『ANOTHER WORLD』感想 美しいシーンが好き

この芝居が、ダレずに観られるのは、シーンごとにうまい人が登場して、引き締めているからだなと思っていましたが、二度見ると、美しいシーンが合間にあり、そこがいいんだなと。笑いよりもね。

リピートしても楽しめたシーン

①まずは、チョンパですね。これは、文句なく華やかで楽しい。

芝居では、セオッチが赤鬼になって、二枚目ぶりが見られなくなることがわかっているので、オペラで追いました。黄色からからし色の着物に、凛々しい顔に和風メイクがきまってカッコイイ。銀橋では、色っぽいはるこちゃんの横に並んでおり、二人をオペラに入れて、眼福でした。

②美人座の静御前の舞台。あーちゃんの前座で歌う娘役がうまくて、パンフで確認、。小野小町の華鳥礼良のようです。娘役のいい声が聞けて、気持ち良い。その後に、赤い長袴と金の烏帽子姿ののあーちゃん登場となり、綺麗です。日本物で、扇を使うシーンは大好き。

③美人座での康次郎とお澄の人形振り。一目ぼれして、恋煩いで「ANOTHER WORLD」に来た二人の物語ですね。TV番組で、ベニちゃんは「マバタキしてない」と言ってたので、じっと見ていると確かにそう。

もともと文楽の人形のようなつるりとした和顔で、「マバタキしない」という緊張感が、人形の表情に近くなっていて、いいじゃないかと。

あーちゃんは、康次郎の方に向く時、目線が先に動いていたり、もう一歩。でも、黒子のみんなもがんばってて、いいシーンでした。

④はるこちゃんの艶治、元虞美人のシーン。ここは宝塚で観た時からピカイチのシーンでしたが、さらに光っていました。

なお、宝塚では、あーちゃんがはるこちゃんに「おばーさん」と呼びかける時に、ドッと笑いが起きましたが、ここもネタバレで、もうゆるい笑いになってました。紅さんが、「イヤ、それは役職名で、歴代では若い方で・・」と口を出す「マ」がおかしく、それも良いところ。

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さらに、美人座の座頭、阿漕の夢妃杏瑠が、よく通るきれいな声でビシバシ言う所や、閻魔庁のシーンでの白妙なつの天女の歌も、宝塚に続き見応えのあるシーンでした。汝鳥伶さんの閻魔大王も、ゆるぎない迫力と愛嬌です。

星組東京『ANOTHER WORLD』感想 ベニの笑いのセンスは?

良い意味で「大阪のおもろいおねぇちゃん」という、特殊なトップスター、紅ゆずるだから、この物語を当てたのでしょうが、ほとんどいい人しか出てこないこの本は、紅ゆずるの笑いのセンスを、生かしきれているのでしょうか?杏瑠ちゃんの阿漕や、はるこちゃんの艶治が光っていたのは、ちょっと毒があったからでは?

パンフレットに谷先生は、「笑いの洪水の中にしっかりと生きる、生命力溢れる人物たちの競演をご堪能いただければ幸いです。」と書かれていますが、一度目は笑えるおふざけやギャグはあるけれども、「笑いの洪水」はない。

「生命力溢れる」とあるけれども、康次郎にぞろぞろついてきている徳次郎達とかには、それを感じません。「出演者全員が落語に取り組み、悪戦苦闘する稽古風景は、愉快だった」とも書かれていますが、本番しか見ないし・・。

今回、思わず笑いが出たのは、康次郎が美人座の舞台でお澄を見つけ、向かい合って、感激のあまり、声も出なくてブルブル震え続けているところ。あーちゃんもブルブルしてたけど、ベニちゃんのブルブルは、長い腕に細い指だから様になってるし、かなり気合が入って長く続いてた。「笑いを取ったる!」という本気を感じた。こういうところ、好きです。

それと、セオッチ赤鬼と二人のシーン。セオッチは二枚目なんだけど、ちょっと人のいい抜けた感じがあって、紅さんとは違う、笑わせるところを持っている。

だから、なんだか楽しく感じるところがいくつかありました。コワモテなのに、単細胞な感じの赤鬼というのに、はまっているし。絶賛売り出し中のセオッチに、赤鬼の配役ってどうなのとも思いましたが、このまま子供番組にでも出たら、人気者になりそう。

星組東京『ANOTHER WORLD』感想 まとめ

今回の作品は、記念公演か何かで、1時間ぐらに収まるものにしておけば、十分だったように思います。つっころばしが主人公での1時間半ものは、長い。落語でつっころばしが主人公で、話を主導するのって、あるのかな?どちらにせよ、落語は、語り分けることが魅力だから、単純な比較はできない。

帰りの劇場で、もちろん「面白かったわー」という声も聞こえました。確かにね、なんとなくは面白い。大外れというわけではない。日本物の芝居であることにも意味がある。音楽が音頭だったりもし、懐かしい感じでいいし。

でもね、ベニちゃんにだっら、もっと面白いものを求めたい。すでに「客席係の紅子」などという、キョーレツな芸を持っているわけですから。ゆるい笑いでは、もの足りない。同じとこで、何度でも笑えるような、もっとひねりのある台本で、濃くやって欲しかったです。

また、その美しい容姿と、豊かな感情を生かした作品でも、輝いて欲しい。だから、次作が上田久美子先生演出の『霧深きエルベのほとり』と決まり、今度こそは、と期待しています。

宝塚歌劇が105周年を迎える2019年の幕開け、この作品に惚れ込んだ上田久美子の新たな潤色・演出により、紅ゆずる率いる星組での上演が決定。生きて行くことの寂しさや切なさ、今は薄れつつある人の情けの暖かさが描かれた、宝塚歌劇が時を越えて守り伝えて行くべき珠玉の名作の再演に挑みます。

プロローグは、華やかな赤い衣装がキラキラしゴージャス。主題歌はのりが良いし、娘役が、ミニワンピースにスパッツみたいな衣装で踊るのも、かっこいい。 でも、その後の赤ずきんちゃんからの場面からは、意味のわからないコスプレがゴチャゴチャしてるだけで、全体として、美しくない。
落語ミュージカルってどんなもの?かなり微妙だな、と思っていたら、ポスターの衣装でびっくり!!大丈夫なのかと。紅さんのキャラを知っているヅカファンはいいけれども、これ、一般人が見たらどう思うんだろう・・・。
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