九月大歌舞伎夜の部「幽玄」感想 玉三郎と鼓童 袴姿での太鼓が美しい

平成三十年九月の歌舞伎座は、吉右衛門が座長の秀山祭。夜の部最後の三幕目には、玉三郎の新作歌舞伎舞踏「幽玄」が出ます。昨年オーチャードホールで鼓童と初演したものの歌舞伎座版かと。この演目は観ていなかったので、幕が開いて裃に袴姿の鼓童メンバーがズラリと並んだのを観た時は、驚きました!!小太鼓を前にして14名がのキリリとした鼓童メンバーが座っている。今まで観たことのない緊張感と、何とも言えないエレガンスのある姿でした。

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九月大歌舞伎夜の部「幽玄」感想 お能の様式がベース

昨年の制作発表によりますと、

〇世阿弥が見た世界を「羽衣」、「道成寺」、「石橋」など能の代表演目を題材にして表現することに挑戦する。

〇能をベースにしながらも、能楽の楽器を使うわけではなく、能の様式を使いながら、鼓童の演奏に翻訳してやっていく。

〇玉三郎より、「鼓童のみんなは謡(うたい)をうたいます。」

玉三郎が歌舞伎座に出演することが、ただただ嬉しくてチケットを取っていたので、前もって調べてはいませんでした。でも、かえってよかったと。とても新鮮な観劇となりました。

特に鼓童の謡には驚きました!!やっぱり、ちゃんと準備していたんですね。私は長唄のお三味線を習っているのですが、曲としては、唄を知らないと音楽として弾けない。ということで、唄も練習するのですが、これがとても難しい。もちろん、鼓童はプロですから比較できるものではありませんが、やはり、楽器を演奏するのと、声を出すことは全く違うことなので、これは、スゴイことだと思います。

九月大歌舞伎夜の部「幽玄」感想 「羽衣」

幕開けの舞台は、かなり奥の方まで見えていました。その中央に裃をつけた鼓童メンバーが台に乗って小太鼓を前にして、座っている。奥には、打楽器4名、ドラと大太鼓各1名がいます。袴の色は、紫がかったグレー。裃はブルー寄りで着物は黒紋付。ズラリと並ぶと、とても美しい。

しばらく演奏したあと、裏方さんが小太鼓の台を前に押し出します。歌舞伎役者が出てくる時には、台を下げます。

天女である玉三郎の相手役は歌昇ですが、その他、10名を引き連れています。その衣装の色合わせがとてもいい。水色から緑に寄った色をうまく合わせています。日本の色名がわからないので、この色合わせを伝えられなくて、とても残念です。

天女である玉三郎が、羽衣を返してもらって、能で舞う。本当に美しい。

そして、天に帰って行く時、回り舞台を使って、演奏している鼓童は背中を見せながら、奥にいきます。天に昇っていくのを感じました。

九月大歌舞伎夜の部「幽玄」感想 「石橋」

休憩をはさんで、「石橋」が始まります。鼓童のメンバーは、黒の五つ紋付の着物に、黒い紐でたすきがけをし、さっきとは違うグレーの袴。これだけの人数の男性が、袴をはいてスッと立っているのは観たことがない。もともと着物好きですが、素敵です!!

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太鼓は、肩からかけた太鼓や大太鼓になります。「石橋」は獅子ものですから、歌舞伎役者が、花道からゾロゾロと獅子の姿で出てきます。何人来るのかと思っていたら、5名でした。

大太鼓の華やかのリズムに合わせ、5人は、きちんとタイミングを合わせた毛振りをします。観客としては、拍手をいれたいのだけれども、太鼓の迫力に押されて、できない。

歌舞伎の場合、三味線や鳴り物の演奏で毛振りをするので、歌舞伎役者の勢いの方が前面に出ていて、自然に拍手が沸き起こる感じです。が、鼓童の場合、大太鼓が激しいので、そちらの勢いの方がすごくて。これに勝つには、15人ぐらいで毛振りしないと無理だなーー、と思ったりしながら、でも、最後には大きな拍手を送りました。

九月大歌舞伎夜の部「幽玄」感想 「道成寺」

獅子たちが去ったあと、舞台には、たくさんのロウソクが灯されます。まさに、幽玄の世界となっていきます。ここで、演奏に、お琴と義太夫三味線も加わります。打楽器だけでなく、弦楽器がはいることで、音楽にふくらみがグッと出ます。

そして、玉三郎が、歌舞伎の時よりも、派手な振袖で花道から登場します。もちろん、やさしい光のスポットライトはあたっていますが、ロウソクの光による陰影は保たれています。

花子の衣装は、オペラグラスでしっかり観察しました。着物の色は、オレンジで、模様は枝垂れ桜でしょうか?華やかな柄で、金糸で花びらの周りを刺繍している。暗い光の中に、それが、とても映えます。

鼓童の太鼓を中心とする音楽の中で、歌舞伎の花子の登場のような振りをする玉三郎。やはり、こういう姿は心に馴染んでいるので、新しいものの後には、やはり嬉しい。

本舞台に入ってから、鞨鼓をつけて玉三郎が出てくるシーンがあります。鼓童のメンバーの間をクルクルと動き、なんとも妖しいのです。ただ、その後、鼓童の3人のメンバーの演奏が続き、確かに超絶技巧感はあるのだけれども、同じような音色でちょっとうるさかったのが、残念。大太鼓の大きな音は平気なのですが。太鼓の種類もあるのでしょう。

最後は、花子が鐘の中に入り、鬼となって出てきます。久しぶりの玉三郎の隈取です。顔はもう判別できないけれども、優雅さでわかります。道成寺の最後の時のように、桜の枝を持ち、赤と銀の鱗の衣装を着た脇の人がたくさん出てきて、蛇のしっぽを形づくります。花子は台に乗って、決めポーズ!

九月大歌舞伎夜の部 まとめ

予備知識なく観ましたが、とてもよかったです。鼓童の「アマテラス」は観ていましたが、こんなに洗練されたものになるとは!歌舞伎座の大きな舞台に大人数を生かすと、こんなに素敵になるのだなとも思いました。

初日あけて3日目なので、客席も情報がなく、とても集中して観ているのを感じました。もう1回チケットを取っていますが、幕見でも観てみたい。どんどん練りあがってくるでしょうから。新しいことにチャレンジし、若手を生かす玉三郎。尊敬しています。

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