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「カンパニー」は日経新聞の書評に載っていて、舞台に関する内容だったので印象に残っていました。そこに、月組で上演の情報が!すぐに本を買って読み、期待が膨らみました。
月組東京「カンパニー」小説を読みながら、役を想像
小説の主役は、離婚した47才のサラリーマンということで、このままタマキチ(珠城りょう)がやるのかな?バレエダンサー高野悠(はるか)のほうが、どう見ても華のある役だから、もしかして、こちらを中心に書き換えるのかなと思ったり。でも、第一印象では、高野にはみやちゃん(美弥るりか)がピッタリし・・・
こう思ったのは、トレーナーの瀬川由衣が、最初の方から登場するし、挫折を乗り越え、今の務めを果たそうと地味に、真面目に努力する姿に、共感することが多々あったからです。この役をチャピ(愛希れいか)がやるなら、絡みの多い高野がタマキチだなと。それぐらい、由衣はこの小説で大きな存在です。
また、「白鳥の湖」で王子に抜擢される、ヴォーカル&ダンスユニット「バーバリアン」の那由多は、ありちゃん(暁千星)のイメージで読んでいました。グループの下部組織にいる若手の弟分だけれども、ダンスの才能はとびぬけているということから、あってるなと。
読み終わってから、だけど、そうするとレイコちゃん(月城かなと)はどうするのか?他にはバレエ団に若い男性(蒼太)がいるけれども、こちらはアンダースタディで地味な役だし、会社側には役ないし。ということで、那由多はレイコちゃんになるのかと。
結局、タマキチは、年齢を若返らせてのバレエ団に出向したサラリーマン青柳となったので、青柳が心を動かされるバレエ団員の美波にチャピがなり、みやちゃんが順当に高野に、那由多はレイコちゃんで、ありちゃんはバレエ団団員役に収まりました。
挫折感を持っていたり、不安を抱えている人達が、1つの目標にむかって成長していく、努力、情熱、仲間(カンパニー)がどんな困難も乗り越えられるという気持ちのいい小説なので、舞台への期待は高まりました。
東京月組「カンパニー」感想 小説との印象の違い
タマキチは、小説より若返っているので、かっこいい人になっていますが、誠実な人物像は変わりません。普通にきちんとしたサラリーマンで、柔道、空手、書道をやっているという今回の設定に違和感がないことに、さすが、タマキチ、自然に男らしい。華やかなバレエダンサー高野がぴったりのみやちゃんと、お互いの個性をひきたてあってて、観ていて心地よいです。
「白鳥の湖」の音楽が流れ、バレエのシーンが混じるなどして、ストーリーとは別の次元で心が癒される(バレエファンなので)。チャイコフスキーの音楽は、心を揺さぶります。
また、バーバリアンの歌と踊り「ブレーク・スルー」が超かっこいい!!今回退団のトシ(宇月颯)が、業界人のアクがあり、踊りもきまっていて、目立つ。とても嬉しいです。
意外だったのが、レイコちゃんの那由多が書き込まれていなかったこと。舞台でトラブルを起こし、ショックで「トイレで泣いている」と言われ、客席から笑いが起きており、これは違うと思いました。若い子が必死でやってきて、舞台での1度の失敗でプツンと糸が切れた、っていうことがわかるシーンがないのが残念。レイコちゃんにはやんちゃな感じがないので、キャラが違ったかなとも。ありちゃんは、タマキチとチャピのいるバレエ団のシーンで一緒だったり、最後の「白鳥の湖」で道化の役で美技を披露していて、目立っていました。
チャピ美波が、小説の印象より明るい健康的な女子になっていたことも、ちょっと違うかなと。バレエ団にいる時のピンクのフリフリの衿もおかしくないですか?バレエのレッスン着って、もっとおしゃれなものだと思うのですが。この衣装のせいもあって、普通のバレエをやっている女子のような感じがするのかもしれません。美波は、若い時に勢いがありながら、挫折している、それなのにバイトしながらバレエを続けている、そういう深い心が描かれていなかったように思います。これは、チャピの演技の問題ではなく、石田先生の設定によるものです。
わかばちゃん(早乙女わかば)演ずる社長令嬢は、雰囲気もあっているし、小説より好感が持てました。最後にこの役でよかった。
東京月組「カンパニー」感想 物足りないところ
時間の関係上と、役のバランスからしかたないとは言え、トレーナーの瀬川由衣(海乃美月)の書き込みが薄い。宝塚版「カンパニー」としては、月組生の個性や、踊れる人達の魅力を引き出し、暖かい物語になっていて、それはそれでよかったのですが、なんか違うと思ったのは、この由衣のところだなと。帰ってから小説をザザッと読み返してみて、そうだ、この小説の前半の盛り上がりが、ウィーンに勝手に帰ってしまった高野を、由衣が1人ですぐに追っていくところにあると。
正規料金の飛行機代を払い、ジャージ姿のままで、トレーナーとして行くのです。この由衣の行動で、高野が降板するのを思いとどまったのですから、大きなキーとなるシーンです。そこに至るまでの由衣の思いにも共感を覚えていたのに、今回は、青柳もついて行っており、あっさりとした出来事になっていました。
思ったようにチケットが売れず悩み、工夫したことや、本番でのトラブルの書き方やら、困難や苦悩を乗り越えて、という度合いが薄いところを、バレエシーンの美しさでカバーしているというのが、宝塚版でしょうか。
石田先生も、小説の「カンパニー」は、「原作というよりも原案のような形になった」ということをパンフレットで書かれているし、タマキチのサラリーマン、みやちゃんの世界的スター、チャピのバレリーナと、それぞれの魅力は引き出し、良い作品にまとまっていると思います。このあとの、「BADDY」が強烈なので、挫折とか苦悩とかの思いは軽くしといて、ちょうどよかったのかなと。
宝塚で上演することになってので、この小説を読むことになり、そのことはとてもよかった。原作を読むことをおすすめします。