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上田久美子先生の前作、雪組「星逢一夜」のCS放送ですっかりはまり、次作はしっかりナマの舞台を観たいと思っていたところに、宙組で「神々の土地」が上演ということ、さらにポスターがメチャメチャ素敵で、早く観たい!また、トップスターの朝夏まなとの退団公演で東京はチケ難確定。そこで宝塚本拠地まで遠征してきました。
生徒の魅力を引き出す上田久美子先生
ロマノフ王朝がくずれていく時代の物語で、衣装も装置も美しく、また崩壊の危うさが漂い、一瞬の気を抜くこともなく引き込まれました。
主演の朝夏さんは、皇室の血を引く貴族というのが本当によく似あう。知的で清潔感が漂い、やさしさもある。彼が心ひそかに思っているイリナ役の伶美うららが、豪華な美人で、思われて当然の説得力。また、心に何かを秘めている深さもある。クラシックな衣装がよく似合い、デザインする先生も楽しかったろうなと。この美しい人が、トップにならないまま退団するのは本当に惜しまれます。宝塚には、姫役者が絶対必要なのに…。外部で、その美貌を生かし、女優として輝ける道に向かうことを、切に願います。
物語の初めの方に、雪原の中の大きな焚火のそばで、二人がコートを脱いでダンスをするところ、あまりの美しさにボーッとして、「宝塚まで来てよかった!!」寒いのでは?とか、もうどうでもいい。二人は、トップコンビかのようにお似合いです。
ドミトリー(朝夏)は、故郷を離れ、皇帝警護の任務につくのですが、大階段を使った任官式に「キャー😆、ステキ!!」。大階段を宮廷の中の階段とみなし、軍服姿の宙組生がそこにズラリと並んでるのですから。宝塚に望まれているものを、上田先生は本当によくわかってくれている!
ドミトリーの旧友の名門貴族のフェリックスが、真風涼帆。母親共々、美し物好きで、遊び人風ですが、実は国の未来を憂いていて、行動もしている人。ドミトリーの手をそっと握り耳元でつぶやく時や、セリフにドキッとさせるものがあり、ドミトリーが好きなのか?とも。つかみきれない、なかなかいい役です。
主要3名がスラリとして、美しい上に、ロマノフ王朝ということで、宮廷サイドは衣装もセットも豪華で眼福に次ぐ眼福。で、ここに怪僧ラスプーチンが現れる訳ですが、イャー、ビックリしました、あまりの異様さに😱!それも、素はおっとりとした感じの愛ちゃん(愛月ひかる)が!!宙組は、大空祐飛トップの時代によく観ていたので、なんか成長したなーと。キーとなる大切な役なので、どんどん怪しくしてくださいね。
ラスプーチンを引き上げたのが、皇后アレクサンドラで、男役の凛城きらが演じてます。こちらもとてもよかった!まず、なんといっても綺麗。そして品に加えて憂いがある。ちょっと低めの声が、心の闇を感じさせる。うまい人だったんだなーと。このまま大人の女役になってくれたら、美人の役ができるのにと妄想が(ファンの皆様ゴメンナサイ)。組長の寿つかさ演じるマリヤ皇太后ともバシッと張り合えてました。男役の2人をこの高貴な皇太后と皇后にできると見抜く力も、さすが、上田先生!
次期トップ娘役が内定している皇女オリガ役の星風まどかは、ドミトリーに恋心をいだく少女で、身の丈にあった設定。歌は確かに歌えているけれども、セリフの言い方にすべて力みがあるようで、それが少女ゆえの堅さでそうしているのか、いつもそうなのかは不明。孤立している皇后アレクサンドラの影響を強く受けている、孤立した家族の一員という感じは、この堅さのせいもあるのか、よく伝わりました。
「神々の土地」という意味につながるラスト
(ここからネタバレあります。)
アレクサンドラが裾の長いマントを引きながら銀橋を渡ってくるのですが、「なんだろう、昔『鳳凰伝』で、花總まりのトーランドット姫にもこういうシーンあったな」と思っていると、本舞台の宮殿の階段(大階段)を真ん中あたりにまで登っていく。マントが広がり、「キレイだなー」と目で追っていると、アレクサンドラの後ろからついていったラスプーチンの背中を、銀橋にいるドミトリーがドキューンと撃ちます。
この展開には、もう、ビックリ!!アレクサンドラは、後ろ姿はそのままに、肩越しに顔だけ振り返るだけ。凍りついているようにも見えましたが、動いたらマントの効果がなくなるからね。撃たれても、人とは思えぬ生命力で動き回るラスプーチン。美しい空間だからこそ、その不気味さが一層際立ちました。美しさからの驚きで、本当にドキドキしました。
ラスプーチン暗殺によるクーデターは民衆には喜ばれましたが、現政権を変えることはできず、失敗に終わりました。暗殺者としてドミトリーをは危険な戦地に送られることになるのですが、その途中にイリナのいるモスクワ近郊の実家に別れのために立ち寄ります。「汽車を飛び降りてきた」というので、ま、ちょっとクスッとなりましたが、ここで二人が会わないわけにはいかないのでオッケーかと。たとえ短い時間でも、二人が思いを分かち合い、ひと時を共に過ごすことができたと思うと、「よかった」と涙がホロリ。
ドミトリーはペルシャ戦線に戻るのですが、そのすぐ後に、革命が本格化し、それぞれの人生が語られます。そして、ドミトリーが銀橋から美しく去って終わりかなと思ったら、本舞台に民衆や貴族たち登場人物がロシアの雪原の中に登場し、影ソロの中行き来します。これが「神々の土地」ということか!個々のできごとではなく、人々が織りなしていったロシアという土地の匂いを感じる幕切れでした。1時間半という短い時間に、よくこれだけの物語が描けたものだと、上田久美子先生の力量に感動しました。上田先生が宝塚に入団してくれて、本当によかった。
ドミトリーは実在の人物ということで、観劇後、宝塚関係の本が充実している「ブックランドサンクス 宝塚ソリオ店」に行き、中野京子著「名画で読み解く ロマノフ家12の物語」を購入し、一気に読みました。そしてロシアに、ペテルブルクにいつか行きたくなりました。「ベルサイユのばら」に熱中して、フランス革命に詳しくなり、さらにベルサイユ宮殿に行ったように、舞台に感動して、関連の知識が欲しくなる、行ってみたくなる、こういう作品を生み出せる演出家の上田久美子先生。これからも期待しています。