雪組「凱旋門」感想 大人の轟に真彩の声の魅力。フィナーレが欲しい

幕開けの舞台は、柔らかい光を纏うパリの風景。凱旋門が奥に見えるクラシックな風情の中で、物語りは始まる。

初演はTVで見たけれども、なんとなくしか覚えておらず、初見とほぼ同じです。

戦時下という、どうしようもな苦しい時代のこの物語が、心にズシンときて、2部のショーを観た後も、気持ちの落としどころがない。「パララ、パララ、パララー」のもの悲しいメロディーが、頭の中をグルグルしています。

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雪組「凱旋門」感想 大人の轟に真彩がかわいい

なんで、こんなに心に響いたのかと思うと、轟さんとキーちゃん(真彩希帆)が意外と合っていて、スッと心にはいってきたからだと。

初演でジョアンを演じた月影瞳は、大人っぽい美人。当時の轟さんとは美形コンビでしたが、キーちゃんは、ふっくらした頬の健康的なタイプ。それに、轟さんより嵩があるようにも見えて、スカステで見る限りは、「どうなの?」と思っていました。

ところが、一緒に舞台で観ると、とてもキーちゃんがかわいらしく見えるのです。轟さんは、若い時の彫刻のような美しさから、大人の男のいい味になっている。そして、男役芸が身についているので、娘役が引き立つんだなーと。

雪組「凱旋門」感想 美しい音楽に真彩の声が魅力

最初に観たのは、公演の3分の2を過ぎた頃でした。主題歌「雨の凱旋門」を唄う轟さんの声は枯れていて、かなり厳しくはらはらする。名曲を、いい声で聞きたかったという気持ちもありますが、なんだかラヴィックの心の傷を表しているようでもありました。前途洋々の若者ではないんだなと。

でも、歌の後半にキーちゃんのきれいな軽い声が重なると、グッと世界が変わります。天女がフワリと降りてきたような効果感があり、二人の心が一つになって、立ち登っていく。

この透明感のあるキーちゃんの美しい声が、ジョアンの普通の女の子としての乙女心や純粋さを感じさせ、それが、男心を惹き付ける魅力にもなっているのだなと。だから、ラヴィックと会えなくなって他の男アンリ(彩風咲奈)に頼ってしまう弱さも、スッと受け入れられる。

雪組「凱旋門」感想 物語のフィナーレが欲しかった

轟さんが、専科として雪組に出演しているのだから仕方無いこととはいえ、こういう重い終わり方の物語が、これだけというのはキツイ。これだったら、他の劇場で単独でやって、最後に、悲しい別れとなった二人でも「夢の世界で、幸せになったとさ」というデュエットダンスやら、華やかなフィナーレをつけて、心を癒して欲しかった。

やりきれない気持ちが解決できないので、初演は見られないかと、帰りに宝塚アン(宝塚の過去のものを売っている店)に寄り、DVDはないかと聞きました。同じような人が多いといことで、在庫は無いとのこと。ファン誌の「歌劇」なら、公演前の対談が掲載されているはずと、公演日から考えて探し、2000年7月号を買いました。

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初演は、TVで見ましたが、ショーの後の芝居という不思議な上演だったのは覚えています。この物語の余韻を考えればわかる。対談を読むと、1部のショーにフィナーレはなく、やはり、「凱旋門」のイメージに合わせたフィナーレがあったようです。

歌劇より

謝 珠栄先生

「ラヴィック達が収容所に送られた後、戦争の場面があって、その後女役が平和のシンボルである白い鳩になり、エネルギッシュな踊りを繰り広げます。そして、ピアソラのようなタンゴ曲にのせ、大階段を使ったパリの街の男達の踊りがあり、ブルースからジャズに変わって、ラヴィックとジョアンの様な男女の恋の踊りへ。そしてフィナーレになります。」

読むだけでもいやされる。こういう重厚な物語は、宝塚だからこその夢のフィナーレがないと、すっきりできない。宙組で再演された「誰がために鐘は鳴る」も、1幕最後は、仲間の一部が皆殺しにされて、休憩時間に入る客席はシーンだったし、ラストも悲しいものだったけれど、だからこそ、主演の大空祐飛と野々すみかが踊るデュエットダンスでは、「本当によかったね」と何回観ても、まぶたが熱くなったものです。

初見の翌週に、宝塚でイベントがあって、また行くことになっていたので、立ち見で、「凱旋門」だけでも観ようと思っていました。が、突然の豪雨でイベントが中止になり、11時を当日B席、3時を立ち見で観ました。3回観て、やっとフィナーレを観たあとのように、二人の悲しい恋物語が、美しく昇華され、その後の「Gato Bonito!!」も、楽しめました。ダイモンが炸裂していた!歌のうまいトップはやっぱりいい。ショーのレベルが高くなる。

雪組「凱旋門」感想 まとめ

つくづく初演を観ていないのが残念でした。このちょっと後からは、好きな組ができて、舞台で観るようになっていたのですが・・・。また、宝塚にフィナーレがあることがどんなにすばらしいことかがわかり、そして、そこが好きなんだなとも思いました。

轟さんで「凱旋門」を再演してくれたことは、良かったと思います。宝塚は若さが魅力の劇団ではありますが、若くては出せないものもある。大人の色気がたっぷりでしたし。美穂さんのも歌もすばらしかった。

宝塚は、いつ名作が生まれるかわからない。距離を置くことがあっても、情報を途切らせてはいけない、と改めて思いました。東京は、チケットがない。宝塚大劇場のように、当日券は買いやすくないし。チケット手配も忘れてはいけませんね。

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